少女マンガを読んでいて、強烈な喪失感に襲われる。
なんか少女マンガ的には、高校の3年間での異性関係っていうのがものすごく大事な、残りの人生をぜんぶこの一瞬にかける、っていうくらい重要なこととして描かれるのだけど、じゃあその3年間を男子校で過ごして、片思いとかそういうのぜんぜんしなかった僕って、僕のこの人生って、とんでもなく巨大な穴があるってことになるんじゃないだろうか。
思わず一緒にマンガを読んでいたファルマンに訊ねる。
「あのさー、高校の3年間に恋をしなかった俺のこの人生ってもしかしてさ……」
「欠陥住宅だよね」
「あげぶふっ」
26年間でいちどもしたことのないリアクションをしてしまった。
「大事な柱が1本ないよね」
「ぐぐげぶっ」
うずくまって手の平で顔を覆いながら、僕は気付いた。
そうか、僕の心には本当はなくちゃいけない柱が1本ないんだ。だから人付き合いの耐震性が低くて、すぐに崩れてしまうんだ。だから12月に入ってから携帯電話に、ファルマン以外の人からまだメールが1通も来ないんだ。そうか。そうだったんだ。やっと気付いた。気付くと同時に、本当にちょっと涙が出た。さいきん本当に涙腺が緩い。