労働から帰ってきたら、テーブルの上に大きなチョコケーキが。ファルマンが焼いてくれたのだった。一緒にメッセージカードが置いてあり、相変わらずびっくりするくらい字が下手糞だったが、やけに照れた。レシピは僕の母親からもらったそうで、食べてみたら懐かしい味がした。
バレンタインで思い出すのは、たしか「姫ちゃんのリボン」だったと思うのだけど、それに出てくる大地という男の子が、バレンタインデーに女の子たちが集団でチョコを抱えて襲いかかってくるのから逃げるため、ローラースケートで校舎の廊下を疾走する、というシーンだ。これは<あんなにモテモテの大地にわたしの不格好なチョコなんて渡せないよね……>と姫ちゃんをへこませる意図で描かれたのだろうが、本当に注目するべきは、大地は2月13日の夜、「明日はバレンタインデーで女の子たちが俺に襲い掛かってくるから、逃げるためにローラースケートを用意しておかなくっちゃな」と考え、14日の朝それを持って登校した、という点だと思う。よくモテない男子のバレンタインデー持ちギャグで「大きな紙袋を持ってくる」というのがあるが、「逃げるためのローラースケートを準備」はそのはるか上空をゆく傑作ギャグだろうと思う。誠意ゼロギャグ。勇気を出した女の子の告白をローラースケートで振り切る。いいなあ。