2010.1.20

 昔のSEVENTEENを読んでいたら、「ウチらの休み時間の過ごし方」みたいな特集の中で、とんでもない遊びが紹介されているのを見つけた。
 なにかと言えば、野球拳である。
 とは言えそれはもちろんじゃんけんで負けるたびに1枚脱いでゆくあの野球拳ではなくて、ウチらver.の野球拳は、じゃんけんで負けるたびにスカートを1回折るのだそうである。これはすごい。考えた人は天才だと思う。ひと折りというのはたぶん3センチから4センチくらいだと思うから、じゃんけんで負けるたびにそのくらい、少女のスカートの生地が太腿をせり上がってゆくのだ。それってすごくいいと思う。野球拳の新機軸。ただ脱ぐのではなく、面積として衣服を捉える。こうしてフットボールの戦略というのはさらなる進化をしてゆくのだな。
 たとえば共学高校に通っているパラレルワールドの僕が、放課後の教室で窓の外の夕日を眺めながらアコーディオンの練習をしていたら、後ろで女子たちがワイワイと騒いでいる。ギャルっぽい感じの後藤が、図書委員の小野田さんを捕まえて、ほぼ無理やりに野球拳を始めたのだ。もちろん普通の野球拳なら小野田さんは本気で拒んだことだろう。しかしスカート折り野球拳なら抵抗は少ない。なにより勝負をけしかけてきた後藤は、折れてせいぜい2回くらいというほどに、はじめからスカートが短い。この学級でいちばんスカートが短いのが後藤なのだ。それに対して小野田さんのスカートは、生徒手帳に記載されている通り、膝の位置までちゃんとある。5回や6回負けたとしても、まだデッドラインには届かないだろう。そんな安心感もあって、小野田さんは勝負に乗ってしまう。しかし小野田さんは普段の休み時間トルストイを読んでばかりだから知らないだろうけど、後藤はじゃんけんに無類の強さを誇るのだ。そのことを知っている僕の、アコーディオンの左手のほうの空気を取り込む蛇腹の、なんて呼ぶのか分からないけどあの部分の動きは、自然と激しいものとなる。鳴り響く月の砂漠。しかし非情にも野球拳は開始されてしまう。じゃんけんぽん。後藤はパーで小野田さんはグー。小野田さんはちょっぴり唇を尖らせながらスカートを折る。普段は隠されている小野田さんの膝小僧が覗けた。白い。白いけど小野田さん、このままじゃまずいぜ――。勝負は進み、やはり後藤はじゃんけんで負けない。小野田さんのスカート丈はもはや後藤のそれと同じぐらいにまでなってしまっている。新鮮すぎるミニスカート姿の小野田さん。鳴り響く月の砂漠。小野田さんの顔からは完全に笑みが消えている。それに対し無敗の後藤は余裕の表情だ。じゃんけんぽん。後藤はパーで小野田さんはグー。これで小野田さんのスカート丈は後藤のそれを超える。学級でいまいちばん短いスカートを穿いているのは、あろうことか図書委員の小野田さんだ。小さくて持ち運びに便利な文庫本の高さよりも、はるかにそのスカート丈は短い。小野田さんの左の太腿のかなり上のほうの位置の背中側の内側らへんには、ほくろがあった。このほくろの存在を知っているのは間違いなくこの学園で僕だけだろう。鳴り響く月の砂漠。さあ次のじゃんけんで小野田さんはふたたび、学級でいちばんスカート丈が短い生徒の座を後藤に返上することができるだろうか。じゃんけんぽん。後藤がパーで小野田さんはグー。とうとうやってしまった。これで今から行なわれる小野田さんのスカート折りはこれまでのスカート折りとはぜんぜん違う。なぜならそれはショーツが公開されてしまうスカート折りなのだ。小野田さんはグーの形のまま固まった自分の手を、信じられないといった風にじっと見つめる。そんな小野田さんに向かって、後藤はにやけながらスカートを折るよう命じる。しかし小野田さんの手は腰に掛かったまま硬直してしまった。ここに女子しかいなかったら小野田さんだって、体育の授業とかもあるわけだし、ショーツを晒すのをそれほどはためらわないだろう。しかし男子の目がある。清純な彼女は、まだ異性に肌を晒したことなどないのに違いない。異性の目、要するに僕の視線が気になっているのだ。でも僕は決して気を遣って退場なんかしない。なぜなら僕はただ純粋に、音楽的見地からアコーディオンの練習をしているだけなのだから。だから僕のことを意識する小野田さんのほうが間違いで、逆にやらしいわけで、僕はぜんぜん居心地が悪くなることもなく、たまたま視界に入っている小野田さんのことをじっと見つめる。小野田さんの手が一向に動かないのを見て、後藤が言う。そんなにショーツを見せるのが嫌なのなら代わりにプロペ君のちんこを舐めなさいよ、と。ハッとする小野田さん。おそるおそる僕のほうを振り返り、目が合う。鳴り響く月の砂漠。やがて小野田さんは決意したように、極限まで短くしたスカートのままスタスタと僕のほうに近づいてきて――。
 このあとスラックスを脱がされてフェラチオされ、後藤も我慢できなくて参加してきて、ふたりの唾の音と月の砂漠が教室にアンサンブルで鳴り響いて、最終的には小野田さんが膣にバイブを入れていたことが判明し、だからショーツを見せられなかったのだ、しかもリモコンを握っていたのでグーしか出せなかったのだ、みたいなことを書こうと思ったのだけど、そう書くのは小僧に少し残酷な気がしたため、面倒臭くてやめた。