日曜日の短めの労働を終えて池袋へ出る。
世界堂に行き、はんけしくんを3つ購入。あとバレンと、広い面にインクを塗るための、ローラーになっている専用の道具を買う。あのペンキ屋さんが持っているやつの小型版。ローラーの横幅が5cmくらいのサイズ。どちらも小学校の図工の時間以来の再会だ。まさか将来これらの道具を実費で買う日が来るとは思わなかった。
その買い物を終えたところで、家から出てきたファルマンと合流。
一緒にキンカ堂へ。キンカ堂で僕はフェルトを買う。家にフェルトはたくさんあるが、今日買ったのはアイロン接着のもの。ワッペン的なものを作ってほしいと例の幼児の母親に軽く頼まれているので、そのための仕入れ。そしてファルマンも珍しくキンカ堂で買うものがある。毛糸である。10月も中旬になり朝晩は肌寒くなってきて、今年もそろそろファルマンの編み物が開始されるのだった。まずは僕のマフラーを編んでくれるというので、臙脂の毛糸を見立てた。愉しみ。
そのあとはサンシャインのほうへ移動。ファルマンには毛糸以外にもうひとつ目的があり、下の妹の誕生日プレゼント選びなのだった。そして割とファンシーなものが好きな下の妹のため、サンシャインのそれっぽいお店でそれっぽいマグカップなんかを買う。しかし3連休の中日の夕暮れ時とあって、人がかなり多い。これにはすごく疲弊した。若者ばかりで疲れる。活気にあてられる。
人通りの少ない道を使って池袋駅に戻り、デパ地下で荒んだ心を癒してくれそうなケーキを買ったあとは早々に退散し、電車に乗って最寄り駅へ。空腹だったので駅近くのラーメン屋に入った。おろしにんにくをたっぷり入れたラーメンはすさまじく美味く、汁までほとんど平らげた。
家に帰ってから早速、世界堂で仕入れた道具を使ってはんこを押してみる。試したのはもちろんリュウサン。なにしろこれはスタンプ台よりもよっぽど直径が長いので、これまではインクを付けるのに難儀していた。それがローラーを使えば、インクを付着させたローラーを2回ほど走らせるだけである。とてもいい。スタンプ台を手に持ってはんこに押し付けるようにしてやると、どうしても水平にはできないので、本来インクを付けないはずの彫った部分にもインクが付いてしまい、それが押すときに紙にもあたって汚れになってしまっていたのだが、このローラーならば完全に、彫っていない浮き上がった部分にだけインクを付けることができるので、その失敗がなくなった。そしてそのきれいにインクの付いたリュウサンの上に、紙を被せる。これまでとは逆の動き。つまりはんこは押さず、押すのは紙のほう。紙の上にバレンをあてる。これも要は力を水平に均一にするための道具なのだな。バレンを丹念に全体に滑らせ、紙を持ち上げる。すると果たして、まあなんともきれいなリュウサンの絵が完成したのだった。嬉しい。すごくいい。大興奮した。ローラーのほうは1000円くらいして、安い買い物ではなかったのだが(バレンは130円)、買ってよかった。しかしもう本当にはんこじゃなくて版画だな、と思った。なんで俺は家で版画をやってるんだろう。インクの付いたローラーをウェットティッシュで拭って後片付けしている僕にファルマンが、「……ねえ、ところであなた、家でなにやってんの?」と冷静に訊いてきて、あ、たしかになにやってんだろう、と思った。でも愉しいんだからそれでいいと思う。この道具のおかげでまた熱が再燃しそうだ、消しゴムはんこの。あくまで消しゴムはんこと呼んでゆこうと思う。