2009.8.9

 日曜日の短めの労働の出勤と同時にファルマンも出発する。してしまう。これで労働から帰宅してもファルマンはいない。ファルマンおらんて。意味わからんしマジで。
 労働しながらファルマンからメールが来、無事に新幹線に乗っただの岡山に着いただの報告を受ける。そして僕の労働が終わる3時前に、無事に出雲市に到着したという。いいなあ、出雲か。俺も行きてえよ。外国生活が長かったフリして義妹にCHUしてえよ。
 誰もいない家に帰るため、駅から歩く。
 道の途中で、手負いの鳩に2匹のカラスが襲い掛かるという、都会における最大級の劇的シーンが展開される。こんなの初めて。住宅街だったため僕以外に人はいなく、僕の3メートル横くらいでそれは激しく展開された。カラスが肉をつついてくるのか、鳩が激しく抵抗し、鳩の羽が何十本も道路に散った。なぜこのタイミングでこんなことが巻き起こるか。ファルマンが家にいたら帰ってすぐにしゃべるのに、家には誰もいない。どうしようもない気持ちで走って逃げた。
 走っていたら夕立に遭う。ぽつぽつと降り始めた雨が、みるみるうちに勢いを増し、ガーッという音がするほどの雨になった。家まであと200mくらいの地点でそうなったので、しょうがなく全力疾走した。200mダッシュ。マスターベーションの疲労感か。皮肉なことに、カバンのなかには買ったばかりの今月の純粋理性批判が3冊入っていた。これが重い。重いエロ小説を抱えて、マスターベーションと同等の疲労感を獲得する俺。もちろんそれなりに身体を濡らしながら。
 そして帰るとファルマンがいない。さんざんだ。
 寂しくシャワーを浴び、寂しくウトウトしていたら、電話が掛かる。
 いつもの一家だった。なんかいま近くまで買い物で出てて、よければうちにある桃太郎電鉄を貸してくれないか、そしてついでに晩ごはん一緒に食べないか、と誘われる。桃鉄は別にいいよ、でも外で食べるのは嫌だから、うちで食べようよ、と提案した。
 そんなわけでいつもの一家が来訪した。そもそもがファルマンの繋がりでの交友なので、ひとりで迎えるのはもちろん初めて。パスタを買ってきてもらい、それと冷凍していた母のピザを焼いて食べ、夕食にする。娘が相変わらずかわいい。しかももうほとんど2歳なだけあって、けっこうしゃべる。今回初めてはっきりと名前を呼んでもらった。感慨深いな。
 途中で大きな地震があったらしい。歩いていたので、僕は気付かなかった。
 PS2本体も貸してくれ、とのことでちょうど別の部屋に探しに行こうとしていたところだったのだ。「桃鉄を貸してくれ」と言ったので、てっきり本体は持ってるのかと思ったら、ないのだという。PS2も借りる場合、はじめに「貸してくれ」と唱えるのはソフトじゃなくて本体のほうなんじゃないか、とちょっと思った。でもそのおかげで地震に気付かなかったのだからよしとするか。そもそも一家が来てなかったら、ひとりでどれほど地震が恐ろしかったことか。ファルマンがいないこのタイミングで、鳥の格闘、夕立ち、そこそこ大きい地震、といろいろ起きすぎだ。世界と俺の精神は連動しているのかもしれない。新たなる神話だろうか。
 9時近くになって、一家を近所のコンビニまで見送る。
 そこで夫が唐突に桃鉄をやりたくなった経緯の話を聞き、この一家はファルマンと僕の日記をそこそこ読んでくれているらしいから、ファルマンが先に帰省してしまって僕が寂しくしてるんじゃないかと心配し、気を遣って今日は来てくれたんじゃないかな、とちょっと疑っていた気持ちが真っ向から否定される。夫は普通に唐突に桃鉄がやりたくなったらしい。そうかい。
 まあでも本当に地震の件は助かった。持つべきものは友達だな。
 持つべきものは友達だな、って僕が言うと、まるで金八先生が絶対に言わない言葉モノマネみたいだな。試しに検索したら、2年半以上やってるこの日記で、今日が初めてだった。つまりそれは、持つべきものは友達だな、と思ったのが少なくとも2年半以上ぶりということか。2年半。あのお腹の中にいた子が、ちょっとした文章をしゃべり始めるようになっているというのに。