健全に寝たが朝勃ちはした。それはするだろう。布団の中で朝勃ちを持て余しつつ、3姉妹がすぐ横で寝ているのに朝勃ちしている俺、という事実にひそかに興奮した。
起きると2日目の天気は快晴で、義父が窓から見える景色をすごく教えてくれる。本当に、すごく教えてくれた。なので「あれが大山だ」とか「あれが弓ヶ浜だ」とか言われるたびに僕は、「あー」と気のない相槌を打たなければいけなかった。「あー」ってなんだ。わかるわかるー、か。自然を尊ぶ意味なんて、なにもわからないくせにね。
パンとゆで卵の朝食。キャベツも食卓に出ていたが僕は食べず。僕のためにレンジに入れて、しんなりさせてくれたらしいが、マヨネーズがなければやはり食べられない。これにはさすがに義母がちょっとムカついていたっぽかった。申し訳ないと思うが、これによって僕と家の冷蔵庫がどれほど親和性が高いのか理解していただければ幸いだと思う。
午前中にチェックアウトし、大山の麓町にある牧場や牧場へ。
ひとつ目の牧場は牛がいて野原があってソフトクリームがおいしい、ごく普通の牧場。農学部に通う三女は牛に喜んでいたが、僕は車を降りた途端に鼻を襲った強烈な臭気に、頭がくらくらして気分が悪くなった。鼻も口も極限まで塞いだので、普通に酸欠状態だったのだと思う。ヘロヘロになりながら牛らとは離れたほうに行き、ソフトクリームを食べ、野原を駆けた。なにしろ芝生男子なので、臭くない限り野原はけっこう好きなのだ。小沢健二好きとしてはフリスビーとかしたくなる。やっぱりこういう、いい部分だけ見せてくれる整備された自然がいい。見晴らしもよかったので気持ちよかった。「ほら、あれが弓ヶ浜だ」「あー(わかるわかる)」
次に行った牧場は、牧場と言うよりは触れ合い動物園みたいな感じ。ポニーとか犬とかヤギとかがたくさんいた。上野動物園よりも高い入場料、ひとり800円はどうかと思った(6人で4800円!)が、犬はまあまあかわいかった。もっとも牧場にしろ動物園にしろ犬のかわいさで800円っていうのも非常にどうかと思うけれど。しかもそのあと喫茶コーナーで食事までしてしまった。ずいぶんとこの牧場にお金を落としたことだな。
それにしても快晴で陽射しが強い。実際もうフラフラだ。義父の運転が怖いこともあり、もういっそ寝てしまおうと思って、帰りの車の中では眠りに就いた(でもたまに前の車を煽るために変な動きをするので、そのたびに起こされた)。
家に帰って荷物を置いたあと、倒れるように布団で眠る。夜はまたおすすめの魚料理屋に食べに行くというので、それまでなるべく体力を回復させておこうと思った。このままだと確実に最初の一杯で寝てしまう。2時間近く寝てすっきり。
起きたらすぐに移動開始。今回は祖父も参加し、車の編成も義父の車に祖父と義妹ら、義母の車にファルマンと僕、となる。義母の運転はさすがに義父よりはちょっと大丈夫だった。
こっちの感覚ではだいぶ行動範囲内じゃないくらいの時間を掛けて店に到着。途中まで、「店の近くにいい夕日のスポットがあるからそこにも寄ろう」という話があったのだが、雲が多かったのと店の予約時間が迫っていたのとで取りやめになった。夕日にいいリアクションができる自信もまるでなかったので、これはすごく救われた。
店では刺身や海鮮の網焼きなどを食べる。さすがにおいしかった。もったりした刺身醤油があまり好きじゃないので、それは残念だったが、それ以外は不満もなく食べた。
帰りは、義父は酒を飲んだので、義母の車(義父と祖父乗車)と次女の車(姉妹と僕)に分かれる。次女は道が不案内のため途中でファルマンと義父が交代し、義父のナビで家まで帰った。
この運転の途中から次女はピタッと言葉を発しなくなり、帰ったら少し泣いていた。知らない暗い夜道で、かなりプレッシャーがあったらしい。かわいそうに。そもそもちょっと食事の行動範囲にしては店が遠すぎるのだ。大山もそうだったが、せっかくの帰省なのに今回はかなりの時間を車での移動に消費してしまった。次回からはどうか家を堪能させてもらいたい。
帰ってから、店でもらってきた魚のアラでアラ汁を作った。とてもおいしかった。こうして書くと、イベントに振り回される中で、必死に食事に価値を見出そうとしているな、僕は。