そうか、お嬢ちゃんそんなにもおっさんの御ぱくりが嫌か。そうかそうか。そうならそうとはよう言ってくれたらよかったんやで。おっさん無理強いとかは嫌なんやから。やっぱりこういうのって同意の上で、お互いに快感を高めあって行なうもんやって思うねん。せやからおっさん、やろうと思えば無理やりお嬢ちゃんの口にこのデラム・タング・ショデを突っ込むことは可能やで、可能やけど、せえへんねん。だってしてもしゃあないねん。そもそもそんな風にしたらおっさんのアズィザムはおっきせえへんからな。ジャェタン・ハリのままやからな。そんなふにゃふにゃしたもんお嬢ちゃんの口に入れても、立たんからな。おっさんの申し訳が勃起せえへんねん。まああるいはな、経験不足なお嬢ちゃんからしてみれば、攻撃性のあるデラム・タング・ショデより隙のあるジャェタン・ハリのほうが、まだいくらか友好が持てそうな感はあるかもしれへんで、せやけどこれが難しいところでな、お嬢ちゃんがどれほどジャェタン・ハリが好きでも、いや、好きであればあるほどにな、ジャェタン・ハリはすぐにデラム・タング・ショデになってしまうねん。流砂に浮かべた小舟で旅する夢など蜃気楼やねん。これが難しく、そしてホンマ愉しいところなんやで。少女マンガとかにありそうな話やろ。里奈は斉藤のことが好きやねん。でも里奈は月の魔力を持つ子でな、斉藤はヴァンパイアやねん。斉藤はヴァンパイアやねん。思わず2回言うてもうたわ。おっさんの持ちギャグにしようかな。「斉藤はヴァンパイアやねん」。それでなんの話やったかな、そうや、里奈の恋心の話やで。里奈は、パンジーをきれいに咲かせる園芸部員の斉藤のことが好きなんやけど、月の魔力を持つ里奈が斉藤に恋心を募らせれば募らせるほどに、斉藤のヴァンパイアの血は湧き踊り、パンジーを破壊してゆくねん。つまりそういうことやがな。お嬢ちゃんは穏やかな斉藤が好きかもしれへんがな、お嬢ちゃんが穏やかな斉藤に構えば構うほど、おっさんの斉藤はヴァンパイアの血が湧き踊って凶暴化してゆくねん。斉藤はヴァンパイアやねん。でも里奈も現金なもんでな、優しい斉藤のことが好きだったくせに、ヴァンパイアの血に目覚めた荒々しい斉藤から荒っぽく、でもいざって時に限って優しく扱われるうちに、だんだん凶暴化した斉藤のほうへ気持ちが傾いてゆくねん。そういう風になっとんねん。せやからお嬢ちゃん、悪いことは言わへんで、もう優しいだけの斉藤にはいい顔しないことやで。はじめから満月の晩にヴァンパイア化した斉藤と出会っていれば、ふたりの斉藤の間で気持ちをぐるぐるさせる必要も生まれなかったんやから。な。解ってくれたか。これで申し訳も立つってもんやな。おっさんの斉藤の申し訳が満月の夜に勃起して葉陰にひそんだ野薔薇の気持ちを何時かは知るってもんやで……。