2009.1.5

 結婚式の食事会でやる落語を書かなければいけない。
 しかし先日の打ち合わせではっきりしたことには、花嫁であるファルマンに落語をやらせることはどうも難しそうだ。白無垢だの打ち掛けだのと言っている一派を見ていると、どうも落語とは言い出せない空気である。「新婦さんは当日、ゼリー飲料などを用意しててください」とか言われていた。あまり落語をやれと言えそうにはない。
 とは言え余興というものはやはりなければいけないのである。
 そこで大抵の場合どうなるのかと言えば、やはりカラオケということになるらしい。旅館の支配人も、「両家から歌のうまいひとがそれぞれひとりずつくらい出て、歌えばいいんじゃないでしょうか」とおっしゃっていた。それはたしかにまったくもって無難で楽だろうと思う。
 だが僕は、別に「憧れの結婚式は絶対にこうしたい!」というゼクシィ的な願望があるわけでは決してないけれど、とは言うものの自らの結婚式で親戚が20人ぐらいが集い、各人が中途半端な手拍子を打つ中で、ちょっと出たがりなひとりの親戚が、朗々とそれなりの歌を歌う、という、そういう時間はどうしても作りたくないのである。
 なんと言うか、テンションが下がると思う。
 僕が僕の結婚式でテンションを下げてはいかんだろう。
 ファルマンにこの話をしたら、「私もおじさんたちのカラオケだけは絶対に嫌」ということだったので、もしもカラオケが始まった場合、主役ふたりのテンションがだだ下がりすることとなる。やはりこれはなんとしても避けなければいけない。
 けれどもファルマンが落語をやることはどうしたってできないのである。
 ここで浮上してくるのは、「僕が自分で落語をやる」という道である。
 もはや残された道はこれしかない。これならばテンションは下がらない。むしろドーピング並に上がる。上がらないことにはできない。でもせっかく主役の結婚式なのだから、そのくらいのものがあってもいいのではないか。
 今そんな風に思っている。