5時起きの大晦日。真っ暗。暗い時間に起きるのは久しぶり。昨晩は帰省が愉しみで愉しみで、「眠れないのではないか」と不安だったのだが、ファルマンによるとすぐに寝たらしい。「俺、眠れないかもしれないよ!」と変にテンションの上がった僕は、おもむろに羊の数を数え始め、そして4匹目で眠りに就いたらしい。のび太か。ちなみに忘年会で泡盛を飲んだというファルマンは2時まで眠れず、寝た後も何度か目が覚めたという。俺の勝利だ。
ちなみに今はまさに移動中。新幹線の、名古屋を出たところ。次の停車駅は京都。
先日「ポメラ」という携帯用ワープロを購入したので、出先で文章が打てるようになった。うれしい。人気商品で入荷待ちだったのだが、この帰省に間に合ってよかった。
新幹線は、昨日おとといとなんかトラブルが連続していて不安だったのだが、とりあえず順調に走っている。このまま無事にいってほしい。
ファルマンは横の席で口を開けて寝ている。写真を撮りたいくらいだが、携帯電話しかないし、痛いカップルみたいになりそうなので諦める。しかし口が開いている。
まもなく新神戸。新幹線がひかりということもあるけれど、意外とある。こうして考えると飛行機はやっぱり速いな。リニアモーターカーってなんのために開発されるのだろう。それよりも飛行機の方が速いんでしょ?
ファルマンがやおら起きて、ポメラを打つ俺の横で、フルキーボードの携帯電話で日記を打ち始めた。あれ? もしかしてこの夫婦、気持ち悪くない? 相当に痛々しくない? 気のせい?
岡山に到着して新幹線を降車。岡山から出雲は今回、特急電車ではなく長距離バスを利用することになっている。バスの出発時刻は2時間後なので、岡山で昼食がてら時間を潰す。陸路で出雲に行くのはたしか3度目だが、岡山でこういう時間を持つのは初めて。駅前広場に桃太郎の像があった。犬、猿、雉を連れているのだが、頭の上に10羽近い鳩が止まっているので、犬、猿、雉、ハト、ハト、ハト……、という感じになっていておもしろかった。鬼ヶ島に糞害を与える作戦か。
うどんを食べ、ケーキ屋でお茶をして待機。城とか見ないのね。観光地で与えられた2時間を、ぜんぜんガツガツすることなく、ダラダラと過ごした。余裕。
そうして今バスの中。新幹線の際も、静岡をすぎたあたりで地面に雪があるのを一瞬目にしたのだが、こちらはもう本格的な雪。先ほどトイレ休憩でちょっと外に出たのだが、牡丹雪がいくつも頭の上に落ちてきた。
なんだかすごく不思議な感じだ。外はもちろんすごく寒いのだが、バスの中はあたたかくて、今が何月何日なのか分からなくなる。何月何日って、大晦日だ。1年最後の締めの日に、日付の感覚がすっかり霧散してしまった。加えて窓から見える風景はもちろんぜんぜん知らない土地(今は安来らへんらしい)だし、目的地も妻の実家で、よその家で年越しをするのは初めてで、島根の年越しがどんな風なのかぜんぜん分からないし、そんなふわふわと実感を伴わない感じが、すごく不思議な感じ。何年何月何日何時に、僕はバスでどこへ行こうとしているのか。それにしても横の席で口を開けて眠るファルマンである。
17時過ぎに出雲市駅に到着する。駅までは義父と義母が迎えに来てくれていて、すぐにおうちへ。夏の日帰りの挨拶も入れると、これで4度目。なんなら出雲市駅からファルマンの実家への道程は僕が運転することも可能というくらいの慣れ具合である。
岡山からすでに帰ってきている下の義妹、近所のバイトから帰ってきた上の義妹と久しぶりの対面。前者は春、後者は夏以来か。相変わらず愛しい。
祖父も合流し、すき焼きの豪華な夕食。おいしく食べた。出前の出雲そばも用意されていたが、すき焼きをダラダラ食べていたら、胃の容量が空いていなくて往生した。ただでさえ「君は出雲そばが嫌いなんだよね?」という誤解を受けていて、「違いますよ!(特別おいしいとも思いませんけど嫌いでは決してないですよ!)」と言っていたのに、結果的にお腹いっぱいで残してしまい、やっぱりどちらかと言えば嫌いなのかもしれなかった。
紅白をけっこうきちんと観た。布施ときよしがよかった。年越しの瞬間はほとんどまったく感慨なく過ごした。下の義妹はかつて年越しの瞬間に、姉ふたりに手を繋ぐことを要求してきた、という話を数年前に聞いて、僕はそのことをしっかり記憶していたので、今回も期待していたのだが、彼女も大人になったらしくって、ぜんぜんそんな素振りがなくて残念だった。
去年ほどじゃないけどしこたま酔って寝た。