本日のスケジュールは、昨晩からガイドブックを広げてああでもないこうでもないと話し合った結果、吉祥寺に決まっていた。吉祥寺は雑貨屋もあるがデパートもあるので、義母にも義妹にも受け入れられやすいと踏んでいた。果たして着いてすぐに義妹がデパートに入り、目当てのブランドのなんかしらを購入する。義母は早くもベンチで休み、ファルマンはそれに付き添っていたため、ブランドでなんかしらを買う義妹にひとり寄り添う僕は、傍から見れば普通に彼氏だったのではないかと思われることだ。3月の三女との動物園のときも、意識的にそういうムードを作り出そうとしたが、今回も果敢にそれを試みていった僕である。
そうこうしていたらもう昼の時間で、吉祥寺ではいつも昼ごはんをどうするか悩むのだが、義母に何が食べたいか訊ねたところ、「もんじゃ焼きを食べてみたい」という予想外に具体的なリクエストが出たため、すんなりとお好み焼き屋。なにを隠そう僕はお好み焼き屋で高校生の頃バイトをしていたので、実は焼くのが特技だったりする。お好み焼き屋は昭和っぽい雰囲気で、ビルの上階の窓際の席で、ビールを飲みながら、仕上げたもんじゃ焼きを義母らとつまんでいると、なんか結構しあわせであるような気がした。なんか思い出に残りそうな気がする。
そのあとは雑貨屋を覗いたり、井の頭公園を歩いたり、義妹にアナスイのなんかしらを買ってあげたり、そんな風にして過ごす。途中で中高一貫の女子校の文化祭を発見してしまい、義母がいることも気にせず門まで近付いたのだが、やはりここもチケットがなければ入れなそうな感じで、義妹に「先輩ヅラして入れてもらえるように頼め」と命令もしたのだが、断られたので諦めた。残念だ。せめて僕ひとりだけでも入れてもらえればよかったのに。
そんな感じでひととおり見てまわり、時計を見たら3時過ぎだった。ここで「上野行けんじゃねえ?」みたいな感じになる。観光の目的地として、吉祥寺と、横浜と、上野という3箇所が大体挙げられていて、その3点はぜんぜん便利な位置関係にないため、初日に吉祥寺、2日目に横浜に行くことにし、上野は今回は却下ということになっていたのだった。でもせっかくだからまだ3時だし行っちゃうか、という流れに。
中央線で東京まで出て、そこから山手線。到着は5時前ぐらいだったか。義母が行きたがっていた美術館はもう閉館の時間だそうで、しょうがないのでまずは銀座線で浅草に出る。先にそちらを見物し、また上野に帰ってくるという工程。
浅草では雷門を見、浅草寺を眺めた。東京観光、という感じがいかにもあっていい。義母は、えっそれを買うか、というようなグッズをおみやげとして買っていた。「浅草」の文字の入った提灯など。僕は人形焼を買って喰う。あったかくて美味しい。
上野に戻ってきて、アメ横を歩く。歩いたけどあんまり買い物はしなかった。なぜなら晩御飯はおうちで手巻き寿司にしようということになっていて、手巻き寿司用の刺身の盛り合わせ的なものを買うならば、アメ横じゃなくてスーパーなのだ。もう1年以上も前に友達夫妻とたこ焼きパーティをやるとなった際、アメ横にたこの脚を買いに行き、1匹丸ごとしか売ってなくて、脚だけで売ってくれないかと訊いたところ「そういうのはスーパーに行きなっ」とダミ声のおやじに切り捨てられたことを、未だに深く深く根に持っている僕なのである。
それでもアメ横を突っ切ったのは上野駅から大江戸線の駅に移動するため。駅名は忘れたが、なんかあるのだ、そういう便利な駅が。それで帰る。
そうして舞い戻った最寄り駅で刺身やらなんやらを買い込み、帰宅。手巻き寿司は美味しくできたのでよかった。アボカドが義母に好評を博す。相変わらずファルマンは納豆ばかりを褒める。
しかし今日はかなり歩いたことだ。
寝る前にふたたびベッドで義妹とゲームをしていたら、先に寝た義母から「いい加減に寝なさいよ!」と怒られた。修学旅行みたいだ。そんなわけで寝る。