午後になって、今年もなんとなく実家に帰る。去年もなんだかんだで帰った。
向かう際、せっかくだから原宿のブックオフにでも寄ろうと、大江戸線で青山一丁目へ、というコースを取る。しかしこれが勘違いで、なぜか僕は表参道らへんの最寄り駅を青山一丁目であると思ったようなのだが、表参道の最寄り駅は言うまでもなく表参道駅なのであり、そっちに出るまで結構歩く羽目になった。
それでもなんとか表参道に辿り着き、そこから原宿に向かって歩いた。その際に表の道が混んでいるものだから脇の道を入っていったら、「もしかしてこれが裏原と呼ばれる場所だろうか」というゾーンに迷い込んだ。人生初の裏原。裏原バージン喪失。そしてこれが別にぜんぜん愉しくなかった。でも「GWなにしてた?」と誰かにもしも訊かれたら、「別に。裏原とかちょっと行ったりしただけかな」とか答えようと思った。どう思われたいのか自分でもよく分からないけれど。
そこから歩みを進め、そして僕は驚くべき情景を目にする。ブックオフがなくなっていたのだった。いつの間に。って言うかそれじゃあ青山一丁目からはるばる歩いてきた意味がまるでない。
でもないならしょうがないので、竹下通りを通って原宿駅のほうに向かう。入ってすぐのところに、この前のティーン向けファッション雑誌で紹介されていた、最近オープンしたという、巨大な飛行機のオブジェみたいのがある、ピンク色したショッピングセンターを見かける。わあこれが、と思った。女子中学生らもまたここへ来た際には、わあこれが、と思うのだろうと思う。ちなみにそこは店内に入るために行列に並ばなければいけないというほどの混みようで、もちろん素通りする。
とは言え素通りするとは言っても竹下通りはとんでもない混雑で、人がぜんぜん流れてゆかない。人の渋滞というのは生まれて初めてだ。年末のアメ横でもいちおう流れてはいた。それがこの日の原宿は、完全に道の途中で流れが止まってしまい、立ち尽くすほかなくなる有様だった。すさまじい。ひとり原宿の竹下通りで人に囲まれながら立ち尽くし、「俺いったい今なにしてんだろう」とぼんやりと思ったりした。
それでもなんとか原宿駅まで到達する。到達したところでテンションがちょっと変になっていたのか、渋谷まで行くのにひと駅山手線に乗るというのもなあ、と思う。なので歩くことに。
歩道橋を通って代々木公園をゆく。代々木公園も盛況していて、出店やらパフォーマーやら宴会する人々やら、GWっぽい人がたくさんいた。なんだかんだでかく言う僕もなかなかにGWらしいコースを巡っているのではないかと気付いた。
もっとも天気はあまりよろしくない。ずっと曇りで、渋谷に到着する直前ぐらいからついに霧雨みたいのが降りはじめる。ギリギリのタイミングで田園都市線に乗り込んだ。
そんなわけで結局2時間超も歩いてしまった。普段から徒歩20分弱の最寄り駅までさんざん歩いているのに、なおも歩くか。歩くの好きな人か。
電車であざみ野に到着。
実家に帰った目的は夕飯である。祖母とかとはこういう場面で定期的に食事とかしておくべきであろうという風に思うようになった。破皮狼もずいぶんと大人になったもんです。
姉も合流し、鮨を食べる。鮨が食べたかったので、今回は義兄の店ではない。
本当は食べたら電車に乗って帰るつもりだったのだが、お酒とか飲んだら面倒になってしまって、翌日は労働があるのだが早くない時間であることだし、1泊してゆくことにした。実家に泊まるのはたぶん去年のGW以来なんじゃないかと思う。
実家の部屋にはパソコンがなくて、紙とペンしかなくて、紙とペンしかないという状況にちょっと感動し、ああ自宅のほうでもこんな風にノーパソコンデーを作り、紙とペンしか使わない夜を持てば、「俺ばかりが正論を言っている」の月間の記事数が10に達しないなんてことはありえないだろう、毎日ダラダラとブログを書くとかじゃなく、たまにはそういうこともやるべきですよ、とか思いながら、しかし別になにも書かず、なにしろ歩いて疲れていたようで、零時ぐらいにコロリと寝た。もちろん電気は煌々と着けたまま。
そんな感じの1日だった。