ファルマンの下の妹とメールアドレスを交換する。
電話番号はすでに3月の我が家訪問の際にやり取りしていたのだが、電話ってなかなかにかけづらいのだ。そのやり取りから半月ぐらい、僕の携帯電話の発信履歴は「1:ファルマン 2:下の妹」というのが不動のワンツーで(ファルマン以外の人に電話をしないため)、なので不意に下の妹に電話をして、「あれっ、発信履歴からファルマンに電話しようと思ったら間違えちゃった! ソフトバンクのプププッて音がしないから変だなって思ったんだ……」と言う、という作戦も考えたのだが、それでも電話ってかけづらい。そうやってナチュラルに発信したところで、じゃあそのあと愉しく会話ができるかと言えばそんな自信はまるでない。18歳の少女に「退屈だな」と思わせないテクニックなんて、とてもじゃないけど持ってないと思った。
その点メールはいい。メールならプレッシャーがない。
さらに言えばメールって、保存されるところが電話よりもむしろいいと思う。僕の送ったメールが、18歳の少女の携帯電話の受信メールボックスに、澱のように溜まってゆく様を想像すると、なんだかゾクゾクするような快感がある。彼女がATMとかで順番を待っている際、暇つぶしに受信メールを見返して、そのとき僕の名前が18歳の少女の網膜に映るのだと考えると、そんな素敵なことって日常のなかにそうそうないと思う。
そんなわけで既に2度ほどメールのやり取りをした。
18歳の少女のメールはかわいくて、絵文字とかがすごくうまく使われていてすごいなと思った。ファルマンのメールに絵文字があると、どうもその絵文字だけ浮き上がって見えて、どうしてこんなおかしな真似をするのだろうと思わされるのだが、18歳の少女にとってのそれは、まるで五十音の一部みたいに、すごく自然なのだ。感動してしまった。
そしてメールを実際に受け取ってまた気付いたことに、これまで書いてきたように18歳の少女とメールをやり取りするメリットって多々あるわけだが、その中でも最も大きいのは、「18歳の少女は僕宛てのメールを作成するとき、僕のことを考えている」という事実だと思った。