お互いの労働後、恋人とともに新居へ赴く。仲介業者の運転する車で行ったきりなのだが、なんとなく辿り着けるような気がして地図も持たずに行ったら、案の定すぐに迷った。新居は駅から割と距離があるのだ。距離感が掴めた帰宅後の今これを打っている自分からすれば、なんであそこに勘で着けると思ったのか疑問である。
それでもなんとか人に訊ね訊ね到着する。えらく時間がかかった。
もちろん日は完全に落ちている。電気の契約は引越し日からなので、そこは準備よく懐中電灯を途中の店で調達していた。しかしブレーカーを上げてみたら普通に照明が点き、どっちらけな気持ちになる。恋人なんか道中で回転充電式のそれを、ジーコジーコ言わせながらずっと阿呆みたいに回していたというのに。
2週間ぶりぐらいに見る新居は、やはりひどく広かった。今住んでいるところからのギャップで、いちど見たそこのことを頭の中で広くしすぎているのではないかという疑念があったのだが、そんなことはなく広かった。越すのが本当に愉しみ。
今日来た目的は電話線やらテレビの線やらの配線の位置を確かめるためで、それを調べたあとはひとしきり収納などをチェックして辞する。
帰りは駅までの道を、きちんと普段に使用できるルートで辿らなければと、近所にあった商店で古くからの地元民らしい店主に「駅までの最短ルートを教えてください」とお願いする。そうしたら言われる。「最短ルートもなにも、この道をまっすぐだよ」。
やってみたら本当に着いた。びっくり。行きのさまよい方ひどすぎ。
帰宅したらどっと疲労が襲ってきて仮眠する。歩行の肉体的疲労と言うよりも、迷子の精神的な疲労だろうな。そのうち自転車を駆使して各所の位置関係を把握しようと思う。原付が欲しい。