2007.9.30

 引越しは朝の9時からで、まだ作業が結構残っていたため、6時半に起きるつもりだった。でも目を覚ましたら時計は8時50分を指していた。なんかふたりでまず笑った。笑うほかなかった。
 引越し業者は10分遅れで9時10分にやってきて、その間に身だしなみを整えたり最低限の作業をしたり、しゃかりきに動いた。この20分間は大きかった。もし引越し業者のピンポンで目を覚ましていたら、と考えると心底ゾッとする。
 業者が来てからは、さすがにあっちはプロだけあって早かった。あれよあれよという間に、部屋を埋め尽くしていた段ボールがなくなってゆく。僕と恋人のできることと言えば、雨の日曜日で混み合っているタクシーを手配することのみだった。
 なんとかタクシーを確保して移動。雨が止めばいいのに、と思っていたら昼ぐらいになってむしろやや強まった感があった。トラックから玄関までの運搬にはどうしたって濡れないわけにはいかない。業者の人たちは大変そうで気の毒だし、僕としても本が濡れたら困る。まったく引越しの日に雨とはツイてない。
 そんな風にして荷物を運搬している最中、引越し業者とは別の業者がやってくる。なにか。インターネットの接続業者である。「引越し当日にネットは開設する」どころの話ではない。引越しの完了に先んじてネットは開設したのだった。結局ネットのなかった期間は昨日の午後からだから、丸一日もなかったのだった。恋人の執念を感じずにはいられない。
 ネットに遅れて引越しも完了。作業員の人は、オプションのはずの洗濯機の設置とかもサービスでやってくれて、いい人たちだった。引っ越す前の住まいを見て「ここにおふたりで住んでたんですか!? さすがですね」と言ったのは、一体なにがさすがなのかよく分からなかったが、それでも概ねいい人たちだったと思う。
 これまでの1Kは引越し直前には段ボールで埋め尽くされ、布団をひと組敷くのも精一杯という状況だったのだが、きっと2LDKの新居ではむしろ「あれ、荷物これっぽっち?」と思うだろうな、と考えていたのだが、すべての荷物を運び入れてみたら割と、2LDKなのに結構な量と感じられる量だった。これまでがどれほどひどかったかということが分かる。
 荷解きをある程度までやったところで、お互い空腹でギブアップ。まだ小雨が降り続く嫌な天気だったが、夕食やら買い出しやらの目的で外出する。普段は使わないほうの第2最寄り駅へ。回転寿司を食べ、ホームセンターや電気屋で必要なものを買う。
 心底へとへとになって帰宅すると、すぐにホームセンターで買ったブラシでお風呂を洗う。今日はもうお風呂に浸かるほかないだろ、と思って湯船にお湯を張った。これまでの住まいではほとんどがシャワーだった。住んでいた約1年半でお風呂は3回くらいしか入らなかったと思う。なにしろ設備が設備だった。でもこれからは違う。お湯に浸かったら、予想もずいぶん高かったのに、さらにそれ以上に気持ちがよかった。風呂上がりにビールを飲んで最高の心地。部屋広い! 風呂気持ちいい! ビールうまい! 最高!
 そして寝た。まだ段ボールは多いが、のんびりやろうと思う。
 こうしてようやく9月が終わる。長月とはよく言ったもので、かなり長かった気がする。なんか盛りだくさんだった。これからは平穏に日々の生活を送りたいと思う。