2006.3.1

 プロッペッパッピローニ14世(王族の末裔)
 
 ふぇっふぇっふぇ。ふえっひっひひっひっひひ。ひーーひひひひ。…………や、ちゃうで。そんな目で見たらあかんで。たしかにおっさん大収穫やったけどな、これは不測の事態なんやで。望外の喜びなんやで。期せずしてや。なんでこんなことになったのか考えてみたらええ。下半身がスースーして思考力が奪われるか分からんけど、一生懸命に考えるんや。自分のなにが悪うかったんか。ほなら分かるやろ。あかんのはな、お嬢ちゃんが女子中学生、つまりハンケチーフ親善大使いうことやけどな、お嬢ちゃんがそれの職務怠慢やからあかんねんで。おっさんホンマはハンケチーフ常任理事国やねんで。せやけど、いやそうであるが故にやな、親善大使たちの行ないには常に目を光らせておかなあかんねん。憎まれ役やねん。鬼寮長やねん。門限をすぎるとか絶対に許さへんねん。でも忘れたらあかんのは、それは優しさいうことやねんで。お嬢ちゃんの歳じゃ分からへんかもしれんけどな、放任とか自由が優しさや思たら大間違いやねんで。鬼のマリアーテ寮長には昔、不良グループの抗争に巻き込まれて命を落とした非行息子がおってんねんで。せやからな、おっさんも心を鬼にしてお嬢ちゃんのショーツ奪いよったんやで。仕方なくや。ええか、これは指導やねんで。教育やねんで。果たしてお嬢ちゃんの学校に何人、心の中で血の涙を流しつつ生徒に厳しくぶつかってくる先生がおるか、いう話や。そう考えるとやっぱりお嬢ちゃん幸運や。ラッキーや。ラッキーガールや。そしてそんなラッキーガールに出会えたおっさんはラッキーおっさんや。おっさんはガールをラッキーガールにすることによりまた自らがラッキーおっさんになるねんな。そう考えるとおっさんすごいな。ガールに対しておっさんは幸福しか生み出さんわけや。このペースやと世界はあっという間に平和になる計算や。不思議となってへんけどな。お嬢ちゃんこれなんでか分かるか。分からんやろ。不可解やろ。目の前にこんな聖人がいるのに、どうして世界はしあわせに包まれないのかしらって思うやろ。圧倒的な恍惚の中でその疑問だけが私の頭を悩ませていました、やろ。おっさん実はその答え知ってんねんで。掴んでんねんで。言うたろか。それはな、ずばりおっさん以外の人間がみな愚やからやねんで。実際おっさんこうして聖人として聖人らしく朝からお嬢ちゃんに対して聖人然るべき聖人的行為に励んどるやろ。お嬢ちゃんどんどん啓蒙されていくやろ。蒙が啓かれるやろ。せやけどな、世の中にはその状況を見て警察に通報したりする輩がおんねん。わけ分からんやろ。まさかのミステリーやろ。その結果としておっさんどうなるか言うたら往々にしてこれや。お縄や。そして常習犯や。こないだお嬢ちゃんと同じぐらいの歳の子に、受精のしくみについて訊かれたような気がして説明しとったとき、そのときも逮捕されたんやけどな、そんとき今度おんなじことやったらホンマに逮捕する言われてしもたわ。強面の刑事さんに。あれは怖かったで。おっさんものごっつ平和愛しとるけどな、人類愛の深さでは誰にも負けへんけどな、せやけど悪法も法やで、悲しいけどこれ戦争なんやで、逮捕は受け入れなあかん。でももちろん逮捕はされたないわ。おっさんに逮捕されてまでなにかを成し遂げようという気概はあれへん。なにしろ刑務所には少女がおらへんねんで。NO女の子やねんで。NO女の子NOミュージックNOライフやねんで。ミュージックを経由するんねんで。おっさんにとって女の子はまず聴覚やねんで。どうでもええけどな。せやからあの日怒られて以来な、そっちがその態度で愚かにも地球破滅の道を邁進してゆくんやったら、もう人類のことなんかどうでもええわ、啓蒙なんかしたるかボケ思たんや。ホンマ正しいか間違っとるかは多数決なんやね。おっさん一連の出来事でそれしみじみ思い知らされたわ。せやけどな、やっぱりおっさん聖人なんやね、イラクの人たちのこと嫌いになれへんねん、やっぱりこうしてお嬢ちゃんのこと救っとる。雨の日に濡れそぼる捨て仔犬に、救いの手を差し伸べずにはいられないおっさんがここにいたわ……(つづく)