あしながおじさまへ
おじさま、今日はとっても不思議なことがあったんだよ。
朝目が覚めて食堂に行ったらみんなが夢の話をしていて、それがみんなボクの見た夢と一緒なんだ。
どういう夢かっていうとね、ボクたちは7人でおじさまへの手紙を書いているんだけど、そこにいきなりおかしな生きものがやってくるんだ。これが本当に変なのなんだよ。大きさはボクたちの肩ぐらいまであって、細くて長い2本足で立ってる鳥みたいな生きものなんだ。それで体の色は白くて、これは楓ちゃんが言ってて、なるほどって思ったんだけど、ボウリングのピンに似てる感じ。それでその頭の上からリーゼントみたいな黄色い塊が生えてるの。ね、すごく変でしょ。
その生きものがいきなりやってきて、ボクたちはおもしろがってその生きものの傍まで近付いたんだ。
そうしたらいきなりその鳥さんが「ワガハイハクチバシデアル」って喋り出すんだよ。そう、鳥さんなのに喋るんだよ。さすが夢。しかもその声が濁った電子音みたいな、踏み潰されるみたいな、すごく変な声。
それでボクたちが驚いてると、その鳥さんは続けて「ワガハイハ……」って喋り始めたんだけど、2回目のそれは長かったからあんまりよく覚えてないや。パピロウとかキョウダイとかセッテイとか言ってたけど、なんだったのかな。これについてはみんなもよく覚えていないみたい。
それでボクたちがなんにも言えずに黙っていると、鳥さんも急に遠くを見つめているみたいな目になって、黙っちゃったんだ。なにかを必死に考えていたのかも。鳥さんが考えごとをしている最中、頭の上の黄色い塊が小さくヒョコヒョコ動いていて、なんだかおかしかった。