2009.4.8

 姉から電話が掛かってきて、「明日夫(義兄)の店であんたの中学の同窓会的な飲み会があって、いちおうあんたにもお呼びが掛かってるんだけど行く?」みたいな用件だった。
 本当に、すっかり中学時代とは関係性が切れていたのに、義兄経由でよく分からないことになっている。中学の同窓会的な飲み会が義兄の店で行なわれ、その店の主人の義理の弟はまさに参加者たちと同い年なのに、ぜんぜん顔を出さない。これってなんか変な感じだと思う。変な感じと言うか、僕の存在が余計なだけか。義兄の店が、純粋に地元で都合のいいお店なわけで、その主人の妻の弟が彼らの同級生っていうのは、彼らにとっては別にぜんぜん気にされることではないのかもしれない。どぎまぎしてるのはこっちだけか。
 10年以上まったく関係を築いて来なかった彼らと、義兄の店という飛び道具でいきなり飛び入り参加する図っていうのは、想像すると割とおもしろかったりもするのだけど、とは言えやっぱり無理だよな、と思う。明日は普通に用事があって行けないので断ったのだが、そうじゃなくてもやっぱり行けないと思う。中学時代の思い出は恥ずかしいことが多すぎだし、10年のブランクは大きいし、なにより横浜の20代半ばの若者たちって怖い。横浜で育ち、横浜で生活している若者とお酒を飲んだりすると、僕はどんどん萎縮して、精神の安定からは20日間くらい遠ざかりそうな気がする。なのでやっぱり行けない。行けやしない。哀しくなるだけだから。
 それと、それに関連しなくもない姉の次の話題として、やはり僕の中学時代の同級生に、いま割と有名になっているホストというのがいるのらしい。自分でお店を経営していて、テレビとかにもたまに出るような、そういうホストだという。うそーん、と思い、本名は判らないというから源氏名だけ教えてもらい、電話を切ってからネットで検索してみた。そうしたらそれで出てきた写真はぜんぜん知らない人だったので、安心と言うか、なにがどう安心なのか分からないけど、ああ、こわやこわや、と思いすぐに検索ページを消した。
 消したあとすぐに、「月刊少年 余裕」を綴じるためのちょっと頑丈なホッチキスを楽天で検索し、いろんな種類のホッチキスを見て、癒された。知らん知らーん。中学の同級生も、横浜の若者も、有名なホストも、知るもんか。俺は同人誌を綴じるためのホッチキスをひとりネットで物色するのだ。横では妻が「私の日記、『である調』と『ですます調』どっちがいいと思う?」と訊ねてきて、ああもうなんてつましく心地よいサナトリウムであることか、と思った。
 最近ファルマンとしか他者との関係性を持っていない気がする。