労働を終えて区役所へ。早めに切り上げたファルマンがもう先に窓口にいて、スムーズに作業を進めることができた。中国じゃないけどやっぱりぞろ目ってことで割と人は多いみたいだった。ファルマンによると「書類に致命的な不手際があったのだがどうしても今日がいいのだ」みたいに粘っている人もいるそうで、うえーっと思った。幸いうちは僕の母親の名前に使われている「恵」という文字が戸籍では「惠」なので書き足せ、というどうでもいい訂正だけで済んだ。よかったよかった。
そんなわけで無事に受理され、晴れて夫婦となる。
ちなみに名字の変わったファルマンが初めて新しいフルネームを書いたのは、その窓口で提案された苗木の登録で、なんとも間の抜けた感じ、そして間の抜けたと言えばファルマンの書くただでさえ間の抜けた文字が、書き慣れない僕の名字になるとさらにその間抜けさが強調され、もう腰が砕けそうなくらい間が抜けているなあと思った。
そのあと別の窓口に移動して世帯主の変更(これまで我が家は二世帯住宅なのだった。同棲カップルは二世帯住宅なのだ)をし、新しい住民票を取得する。
ファルマンの懇願により区役所の前でツーショット撮影という恥ずかしいことをこなしたあと、印刷したての住民票を持って近くのソフトバンクショップへ。そこでファルマンとの家族割引の契約を済ます。実に年月が掛かったがこれでようやく僕とファルマンは通信料が無料だ。ほとんどファルマンとしか通信しないのに、これまでは実に無駄なことをしていたとしみじみと思う。
帰りながら、撮影した写真を早速メールにして家族に送ったらしく、ファルマンのもとに次々にお祝いの返信がやってくる。義母と義父のテンションがそれぞれ高く、苦笑いだった。
帰宅してから僕も母親に、無事に終了したことを電話で伝える。「惠」の文字の文句を言うのは忘れてしまった。母から「父親にも伝えときなさいよ。メアド送るから」と言われ、少し気が重くなる。1年前くらいに梨を送ってもらい、そのお礼のメールで「そろそろ引越しをする予定だから決まったら新住所を伝えるよ」みたいなことを言ったまま、伝えることもなくずっと音信不通だった。なので父は引越しをしていないと思っているかもしれない。そろそろ梨が送られてくるシーズンが近づいてきていることもあり、なんとかしなければとは思っていた。とは言え気が重い。まだしていない。
とにもかくにもそんなわけで本日をもって無事に夫婦となった。めでたしめでたし。ちなみにファルマンは今後「うわのそら」で僕のことを「夫」と表記するらしいが、その点こちらの「ファルマン」は便利だなと思う。