2008.7.23

 労働が終わったあと、ファルマンを誘って渋谷に出る。なぜかと言うと僕は翌日の労働が休みであるため、体力の温存が必要なかったからである。そうでなければ平日にこんなこと絶対にしない。用事は結婚式の招待状の購入と、あといいのがあれば指輪の購入である。
 前者は東急ハンズで、無難なものをファルマンが選んでいた。その選定の際にやけに「どれがいい?」と訊いてくるものだから、「別にどれでもいいけど」と答えていたら、「どれでもいいじゃないでしょう」みたいに怒られ、「ふたりで送るものなんだから」ということだったのだけど、でも身内だけの結婚式と言いつつなんだかんだで……とかいうこともなく、僕のほうの陣容は本当に先月ぐらいの義兄の店に集まったメンバー、祖母、母、叔父、姉、義兄でおしまいなのだった。あ、あと姪か。それとチョーもしかしたら父親。どちらにせよ招待客というよりも、一般的な結婚式ならば主催者側に座る人間だけである。それ以外本当に呼ぶような親戚なんていないのだ。それに対してファルマンのほうはそれなりに選定する程度はいるみたいなので、まあ出雲でやることでもあるしそっちが多く呼べばいいよ、招待状を自由に送るがいいよ、と思う。
 指輪は何店か見て回ったのだが、あんまりこれというものがなかった。結婚指輪とは要するに仕事の最中も含めてずっと着けている指輪だろう。だとしたら太いのは困る。それなのに店員がやけに太いのばっかり薦めてくるのだ。そしてファルマンもドギマギしてんのかなんなのか、「そうだね、これなら大丈夫だよね」とか、お前どう考えてもそれかなり太いだろう、みたいなやつに平然とオッケーを出したりする。阿呆か、と思う。ファルマンの性格は往々にして、今回ならば「結婚指輪を買う」という理想的な行為に捉われるあまり、肝心の中身のチェックを非常におろそかにするのである。本末転倒と言うか、それでは結局まるで意味がないのである。ということでブーブー言ってたが「これじゃダメだろ」と言って店から出た。
 ちなみに指輪の理想は、細いのがいいはいいとして、しかしシルバーの単なる線、みたいのは嫌だなと思う。なにげに鮮やかな色が入ったやつがいいのだ。矛盾しているだろうか。ちなみに店で「単なるシルバーじゃなく、色の入ったやつがいい」と希望を出したところ、「これなんかピンクゴールドでいま大人気なんですよ」と、あんまりピンクゴールドじゃない、おばあちゃんの肌着みたいな色(でも本当に流行っているらしく種類が多かった)の指輪を差し出され、ああぜんぜん違う、と思った。というわけでこれは先が長そう。