今月発売の2次元ドリーム文庫、葉原鉄「どきどきクラブボックス」で強い衝撃を受けたのでここに記す。
全体的に物語を割ときちんと書こうという意識が感じられ良作の部類に入る作品だったのだが、注目したいのはなんといってもラストの性交シーンである。2次元ドリーム文庫のラストの性交と言えばもちろん登場女子全員とのハーレムなわけだが、これに関してこの作品は革新的な試みをしていたのだった。
それというのは、いちどの射精を分割し4名の女子すべてに注ぐ、というものである。
これがどう革新的なのかと言えば、これまでのハーレムにおける射精では、「群がる女子たちにスプリンクラーのごとくぶちまけてゆく」と、「特定のひとりのキャラクターの膣に注ぐ」の2種類しかなかったのである。
しかしこれらには双方ともに欠点があり、まず前者には中出しの激しさがない。さらに言えば降ってくる精液を浴びて女の子らがうっとりして昇天する、なんてことは現実的ではない(ハーレムエンドが現実的なのかどうか、精液がスプリンクラーのごとく排出されるのが現実的なのかどうかは別として)。後者の場合は中出しの満足感はあるものの、相手となるキャラクターがひとりに限定されてしまうところがなんといってもネックである。この場合あぶれたキャラクターはどうするのかと言えば、主人公の顔に性器をくっつけ舐めてもらったり、手でいじってもらったりして絶頂へと到達するのである。しかし人数が3人や4人までならばいいが、これが6人とかになると主人公の体に余っている部分がなくなってしまい、なんかもうちょっと体が接触しているだけじゃねえかよ、みたいな状態で少女は昇天しなければいけないことになる。これは割と興ざめる。さらに言えばそれが6人の中で最もお気に入りのキャラクターであったりした場合は目も当てられない(しかし往々にしてある)。
これまでの2次元ドリーム文庫にはそういう葛藤があったわけである。でも僕はそれをしょうがないものだと思っていた。それはハーレムエンドの宿命なのだと諦めていた。フランス書院の美少女文庫では、たまにハーレムエンドのものもあるが基本的にラスト性交はヒロインひとりとのものであり、これはこれで完結してはいるのだが、しかし2次元ドリーム文庫をいちど読んでしまうと、人数から来る迫力にもどうしても欠けるし、シャノマトペもないしで、どうも美少女文庫は物足りなく感じてしまうのである。
そんな八方塞がりの停滞を打開したのが、そう「どきどきクラブボックス」なのである。
射精を4つに分けてすべての少女の膣に出す。これならば中出しの満足感もあるし、お気に入りのキャラクターがあぶれて哀しくなることもない。非の打ちどころがない解決法である。答えを見せられてから振り返ってみると、スプリンクラーのごとく精液が出るのならば、どうしてそれを複数の少女の膣に注ぐという発想が出てこなかったのかと逆に不思議になる。コロンブスの卵だ。
なのでこれからはこれがスタンダードになってゆくのではないかと思う。注目していきたい。