2007.1.26

 夜から急に体調を崩したのだが、それまでそんな気配はまるでなかったのだ。早朝から夕方までいつものように労働し、帰りには近所の古本屋で米村圭伍「面影小町伝」(新潮文庫)を250円で購入したりした。夕食の準備だってちゃんとし、美味しく食べさえしたのだ。
 事が起こったのはそのあとである。なんか異様に胸焼けというか胃もたれみたいな状態になり、起きていられなくなった。どうにもこうにもならなくなり、近所のドラッグストアに胃腸薬を買いにゆくことにする。しかしその帰り道にはもう息も絶え絶え、猛烈な吐き気で歩けなくなる。それでもなんとか恋人に支えられ家に辿り着き、さっそく買ってきた薬を服むが、なんの意味もなかった。薬が効くよりも先に我慢できない吐き気に襲われる。
 吐く。そして吐くと同時に下痢。とんでもない。だってトイレはひとつしかないのだ。急なことだからビニール袋とか用意してないし。死ぬかと思った。こんなことって本当にあるんだ、とか思った。
 そうして苦しんでいる間に、恋人が近所の救急病院に連絡を取ってくれる。ありがたい。恋人はこういうのがすごく優秀なのだ。ネットで連絡先を調べてくれて。逆の立場ならば僕はそんな連絡そうそうできないと思う。しみじみと逆でなくてよかったと思う。
 出すものを出し切り少しだけ落ち着いたところで出発する。歩いて10分足らずなのだが、雨。傘が重くてつらいったらない。道端で吐く。
 病院では診察の後、採血して点滴することに。
 非常にサラリと言われたのだけど、採血して点滴!? って思った。
 だってまさか自分が採血して点滴するとは思わずに生きていた。僕はこの年になるまで血液型の検査もしていないし、針を刺されること自体が中学のなんかの検査のとき以来である。なんかいきなり宣告されてすごいショックを受けた。
 診察室の隣の部屋に連れて行かれ、看護婦さんに袖をまくるよう言われる。看護婦なんかぜんぜん天使じゃない。僕の天使のような華奢な腕に、針が刺される。見ていられない。しかも腕が細いのか血管が細いのか、何度も失敗される。そして実際に血が抜かれているところを見てしまい吐き気を催し、針に集中している看護婦さんに向かって「袋をください」と言って迷惑がられる。そして抜かれながら至近距離でゲーゲー吐く。なんて迷惑な患者だろうか。
 そのあとは点滴を受けながら安静に。なんか寒くてガクガク震えていた気がする。恋人がずっと横にいてくれたのだが、暇そうで申し訳ないなと思った。
 点滴が終わって帰ったあとはすぐに寝た。寝るほかなかった。