2005.9.4

  入梅

 十三歳未開
 天癸昨宵来
 梳弄非高遠
 落紅若入梅

 天癸:月経。梳弄:破瓜。落紅:出血。


 すごく久し振りの漢詩。
 データの移し替えをしているとき、これまでの漢詩がスキャナで取った画像であったのが、非常にめんどくさかった。なのでこれからはやっぱり入力文字にしようと思う。もっとも縦書きでないことと、古典などに見られる現在あまり一般的でない漢字が表示されなかったりする、というのは相変わらずネックだ。一長一短。どうしても不都合が出てきたらまた手書きして画像方式にするかもしれない。
 それと漢詩の作者が、自作について書き下し文を付すのは、あんまり上品なことじゃないんだという。もっともこのことは前から知っていて、それでも分かりやすいようあえて付していたのだけど、やっぱり漢詩は漢字のみで成り立っているものなのだから、書き下し文を付けて読者に対し意味を理解しやすくするのは卑怯だよな、と思うようになって、付けるのを止めた。最低限の用語だけ意味を補足しておいたのだが、これで十分に内容は理解できると思う。

 ところで前回、と言ってももうだいぶ前になってしまうのだが、それまでの漢詩とこれがどう違うのか、この数ヶ月においてどういう点が変化したかと言うと、字面を見てもらえれば分かるように、この漢詩には女偏の漢字を一切使用していない。
 これは前回までの漢詩を友人に見せたところ、めんどくさがりの友人がろくに読もうとせず字面だけを眺めて、「内容はよく分かんないけどさ、要するにまあ、なんか女について詠ってるんでしょ?」と言われたことに起因する。それがものすごく悔しかったのだ。痛いところを突かれた。なるほどたしかに女について詠むとき、女偏の漢字を多用していては、詩としてのイメージの喚起もなにもあったもんじゃない(もちろんその一方で、視覚で内容が推察できるというのは、象形文字たる漢字の一大特長でもあるのだが)。そんなわけで、じゃあ次は女偏に一切頼らずに女の漢詩を作ってやろう、と奮起したというわけだ。
 かくしてこの五言絶句が誕生した。