労働終わりにファルマンと野球観戦に行く。スワローズ対ファイターズ戦。初体験のこと。
前夜あまりにも愉しみにしすぎたのか、興奮のあまりよく寝つけず、割と睡眠不足気味。なにか愉しみなイベントがあると結構こうなることだ。思うに、愉しみなイベントというものに慣れていないのだと思う。さらには眠い頭で労働の昼休みに近所のユニクロに行って、タッチのTシャツを買ってしまうという、微妙によく分からない行動もする。とにかく変なテンション。労働が終わったあとそれに着替え、ファルマンと合流。
大江戸線で国立競技場駅へ。試合開始は6時20分で、駅に到着したのが10分くらい。そこから微妙に歩く。近付くに連れてだんだん人が増えてきて、球場が見え、選手の発表とかがされて盛り上がっているのが聴こえてきた。テンション上がる。
チケットは一塁ヤクルト側の内野席。ファルマンの実家がヤクルトファンなのだ。僕は特別どこのファンというのはなくて(強いて言うならば若干の巨人ファン)、球場で野球を見るのが目的だったので、カープ対バファローズとかじゃない限り別にどこでもよかった。
だけど結果的にこの日のチケットを取ったのは大正解だったのだ。もちろんひそやかに狙ってはいたのだが、やはり水曜のファイターズの先発投手がダルビッシュだったからである。
入場ゲートを過ぎて球場内に入り、階段を上がると結構すぐにスタンドに出たのでびっくりした。なんか急に開放感があって不思議な感じ。ぐるりと広がる座席に人がわらわらといて、おおう、と思う。しかも電光掲示板にはダルビッシュ! ダルビッシュの文字! はっきり言って両チームで知っている選手が稲葉とダルビッシュと宮本しかいなかった(森本と青木は怪我で休み)のだが、だけどもダルビッシュ! 一塁側のくせにダルビッシュにばかり反応する。
でもこれは周りの人たちも同じで、外野じゃなかったせいもあるんだろうけど割とみんな落ち着いていて、あちらこちらで「ダルビッシュだ」「ダルビッシュだ」と好意的に語り合っていた。そりゃあたとえ相手チームの投手であったって、お金を払って球場にやってきて、実際に目の前で見られるのなら、ダルビッシュがいいだろうと思う。ありがたやありがたや。
席は前から3列目で、割とすぐ前にグラウンドがあった。
席に着いたときはまだ1回の表で、ファイターズの攻撃である。ここでいきなり3点スワローズが点を取られる。そしてなにしろ相手投手はダルビッシュなのである。一塁側内野席の人たちは早くも「こりゃあもう負けだな」などと謙虚に呟いていた。
そして一回の裏になり、ついに出てきたダルビッシュ! 背が高い! 他の選手とシルエットが異様になんか違う! ここでファルマンを含めた周囲の女性たちが、一斉にケータイのカメラを構えだしたのが面白かった。なんかもう、超ダルビッシュ!
ダルビッシュは3人であっという間に3アウトを取った。かっこいい。
ここで僕はおつまみとビールを買いに立ち上がる。しかし向かう途中で、次のファイターズの攻撃の打順がダルビッシュからであったことを思い出し、慌てて席に戻る。普段は見られないバッターダルビッシュ。まあ当然三振なのだけど。
買ってきた焼き鳥と焼売でビール。美味いー。7時ぐらいになって紺色だった空がだんだん暗くなるんだけど、煌々とライトが照ってるから非日常的な色合いになって、アハアハと愉しい。なに、これしあわせなんじゃないのー、と思った。
試合はそのあと宮本がホームランを打ったり(あの傘のパフォーマンスが行なわれた)、ファルマンが叩いて音を出すメガホンを買いに走ったり、ファイターズが追加点を入れたり、ファルマンが傘を買いに走ったりで、結局3対7でヤクルトが負けたのだった。まあ僕は別にスワローズファンではないし、たとえスワローズファンであっても周りの人間がそうであったように、ダルビッシュなら負けてもよかろう。とにかくみんなダルビッシュのおかげでしあわせなのだった。
ヒーローインタビューもダルビッシュで、電光掲示板にインタビューを受けている顔が映し出されると、ダルビッシュときたら重労働をしたあとのはずなのに、顔が球場にいる誰よりもキリリとしていて、さすがだなあと思った。ありがたやありがたや。ちなみに今日はサエコも応援に来ていたということで、ああ今夜はダルビッシュ、チーズ突け突けだなあ、と思った。
そんな感じで、最後はもうヘトヘトになったのだけど、とても愉しい時間だった。今度また、今度はやっぱりあれだな、スワローズ対ジャイアンツ戦とか観に行きたいなと思った。