2005.10.2

 それとはすなわち、キンタマは一般的に金玉と表記され、「大事な玉」という意味で「金」の字を使うイメージはたしかに現代人の僕らでもまあ掴みやすいわけだが、それは変化した言葉に後付けされた漢字であるらしく、そのもともとの意味はと言うと実は「キノタマ」なのであり、漢字で書くと「酒の玉」である、ということだ。そしてなんで酒なのかと言えば、昔のお酒っていうのは現在のどぶろくのように白く濁ってドロドロネバネバしており、要するに精液と似ていた。だからそれを溜める精巣のことを酒の玉、キノタマと呼んでいたのだという。うん、おもしろい。今度マッコリとか飲んだときに、こんな雑学を仲間に披露してみてはいかがでしょうか。
 そしてキンタマっていうのは、現在でこそ単なる精巣を指す言葉でしかないが、なんのきっかけか陰茎にその座を奪われるまでは、男性器のシンボル的な存在であったらしい。最近では男らしくない様を糾弾するときに、「ちんこついてるんだろう!」などと言うほうが多くなってしまい、「キンタマついてるんだろう!」という言説はたしかにちょっと歳のいっている人が使う傾向があると思う。ばあさんとかなんかそういうイメージがある。とは言え生物学的に見たら、たしかに男性器の中心的存在は精巣であり、陰茎なんて管でしかない(なんかこのことはSQSAとかで言ったようなおぼろげな記憶がある)わけで、理屈としては昔のほうが正しいとも言える。じゃあこれは果たして即物的になったと言えるのか、それとも文学的になったのか。まあ興味深いと言えないこともない。
 それで、その問題はまあとりあえず置いておくとして、男性器そのものを指す言葉としてのキンタマがあり、やがてその幼児語として「チンタマ」というのが出てきたわけである。ほら、近付いてきただろう。
 さらにはその前半部分を繰り返した「チンチン」が出現するに至り、ようやく「ちんちん」が誕生する。
 そしてそれにより「ちん=男性器」みたいな認識も誕生したのだろう、その男性器イメージたる「ちん」のあとに接尾語の「こ」をつければあっという間に「ちんこ」の完成である。
 また「ちんぽこ」はそれらと微妙に指している部分が異なって、「ちん=男性器」のあとに「棒」を表す「ぼ」を付け「ちんぼ」、それがまた接尾語の「こ」を付け「ちんぼこ」、それが変化して「ちんぽこ」となったという。つまりこれだけは主に陰茎の部分をフィーチャーした言葉であるようだ。